猫の腎臓病ってどんな病気?
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獣医師監修
猫の腎臓病って
どんな病気?
腎臓病の種類、ステージ分類、症状や原因
猫の腎臓の役割とは
猫の腎臓は左右に1個ずつあり、1個当たり約20gとした小さな臓器(そら豆のような形)です。毛細血管が絡まった糸球体、糸球体を包んでいるボーマン嚢(のう)を合わせて腎小体と呼びます。更に、腎小体と尿細管を合わせてネフロンと呼びます。ネフロンは腎臓の最小単位の構造物でありヒトでは両方で約200万個、犬では犬種にもよるが約80万個、猫では約40万個と言われております。ヒトや犬に比べると、猫のネフロンの数は少ないと感じます。
役割としては大きく3つの機能があります。
- 老廃物を排出 全身から腎臓に運ばれた血液により不要な老廃物を濾過し原尿を作ります。濾過した原尿に含まれる老廃物の中から再利用できる栄養素(ミネラル等)、水分を再吸収し、その後、原尿は濃縮され老廃物として排泄されます。
- 体内の水分やミネラルバランスを保つ ナトリウムやカリウムなどの体に必要不可欠なミネラルの再吸収をしたり排泄をしたりしながらちょうどよいバランスを保っています。
- 血圧調整や赤血球の産生を促すホルモンを分泌
血圧が低下すると濾過量が減り、上昇すると濾過量が増えます。血圧が低下すると下がり過ぎないように血圧が上げるホルモンが腎臓から分泌されます。
体内で低酸素状態が感知されると、腎臓は造血刺激ホルモンを分泌すます。造血刺激ホルモンは骨髄での赤血球の産生を促します。
このような働きが正常にできなくなる病気を腎臓病といいます。
猫の腎臓病は「急性腎臓病」と「慢性腎臓病」
急性腎臓病とは
腎臓の機能が急に落ちてしまい、尿毒症などの症状があらわれる病気です。元気がなくなり、おしっこの量が極端に減ることもあります。
原因として多いのは結石などで尿道・尿管がつまることですが、ほかには感染症などによる炎症や、猫の腎臓にとって毒性をもつものを摂取してしまうこと、たとえば人間の薬やユリ科の植物を食べてしまったりすることです。できるたけ早く病院で対応することが必要です。
慢性腎臓病とは
慢性腎臓病は長い間に腎臓の機能が徐々に低下していく病気で、腎臓の構造の異常や機能低下が3ヶ月以上持続する場合、慢性腎臓病と診断されます。
加齢などにより腎臓が少しずつダメージを受けて慢性腎臓病になる場合もありますし、急性腎臓病から回復したもののダメージが残り、その後に慢性腎臓病になってしまう場合もあります。どちらの場合も診断時にはすでに原因は不明であることが多くなります。
猫の腎臓病の症状
腎臓病になると、腎臓のはたらきが低下することによりさまざまな症状がでてきます。
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浄化機能の低下から尿毒症
腎臓の浄化機能が低下すると、老廃物や毒素を体外に排出できず体にたまってしまうことで、嘔吐や食欲がなくなるなどの尿毒症の症状がみられます。
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水分・ミネラル調整機能の低下から脱水
水分やミネラルを調整できなくなることで、必要な水分が尿として大量に流れ出てしまい、脱水症状を起こしてしまいます。皮膚の弾力がなくなり、元気や食欲がなくなるなどの症状がみられます。
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ホルモン調整機能の低下から貧血や高血圧
腎層が分泌するさまざまなホルモンには、血圧を調整するものや、赤血球を産生するように働きかけるものなどがあります。この腎臓のホルモン調整機能が低下すると、赤血球が不足して貧血になったり、高血圧になったりします。貧血や高血圧になると、動くのをいやがったり食欲がなくなるなどの症状がみられます。
猫の慢性腎臓病のステージ分類
慢性腎臓病と診断された場合、病気の進行度をステージ分類することによって治療の方針を決めることになります。ステージ分類は、血液検査や尿検査などを参考に行います。
おうちの猫ちゃんは大丈夫? チェックしてみましょう。
慢性腎臓病の症状
- 水をたくさん飲む
- 色の薄い尿をたくさんする
- 体重減少
- 食欲低下
- 活動的ではなくなる
- 嘔吐が多くなる
- 口臭がする
- 便秘
- 被毛(ひもう)につやがなくなる
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DHAと猫の腎臓の関係について
岩手大学と共同研究しました。 -
腎臓の健康維持のためにはリンとナトリウムの量を調整した食事を与えることが大切です。