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【獣医師監修】猫の体重と食事の量~肥満予防とダイエット~

2021.7.19
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猫の体重や体型、食事量の管理は、猫の健康維持のため生涯を通してとても重要なことです。また子猫の体重は順調に成長しているかの指標にもなります。そこで子猫から1歳の成猫になるまでの体重と食事量の推移、さらにその後の体型管理や食事による肥満対策についてご紹介していきます。

監修者:村田 貴輝

日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業。動物病院で臨床を経験後、アイシア株式会社入社。
<資格>獣医師、ペット栄養管理士、ペットフード安全管理者

INDEX

子猫から成猫(1歳)に成長するまでの平均体重と食事

成猫になるまでの成長期の食事は、猫が健康で丈夫な身体を作るうえでとても重要なものです。成猫になるまでの体重と一般的な食事量や回数を参考に、愛猫の成長をしっかり管理していきましょう。

月齢と体重の目安

生後1ヶ月~12ヶ月までの体重は以下になります。猫の種類や体格などによって適正体重には個体差があるので、あくまで目安と捉えてください。

子猫の体重例
オス メス
生後1ヶ月 450g 280g
生後4ヶ月 2.0kg 1.6kg
生後6ヶ月 3.0kg 2.3kg
生後9ヶ月 3.9kg 2.8kg
生後12ヶ月 4.2kg 3.0kg

猫は1歳になると、人間だと18歳程度に相当する成猫となります。猫によってはまだ成長が続く場合もありますが、ほぼ成長が落ち着きます。子猫の体重は、成長管理をするうえでとても大切です。こまめに測って記録するように心がけましょう。


子猫に与える食事の回数・量

子猫に与える給与量は、与えるフードの種類によって異なるため、パッケージに記載されている推奨給与量やカロリーを参照するようにしましょう。
給与量と食事の回数は体重を計測しながら子猫の成長段階(月齢)に合わせて調整していきます。一例としてドライフードの『MiawMiawカリカリ小粒タイプ子ねこ用』で見ていきましょう。

MiawMiawカリカリ小粒タイプ子ねこ用:
1日の給与量目安(g)
体重
(kg)
離乳
~4ヵ月
4
~9ヵ月
9
~12ヵ月
0.5 40 35 -
1.0 65 55 45
1.5 85 70 55
2.0 100 85 70
3.0 130 110 90
4.0 - 135 105
5.0 - - 125

上の表の各ライフステージの特徴は次のとおりです。

  • 離乳~生後4ヶ月頃まで

    この期間は食欲旺盛ですが、まだ胃が小さく一度に少量ずつしか食べることができないので、1日4~6回に分けて与えていきましょう。

  • 生後4ヶ月~9ヶ月頃まで

    生後4ヶ月を過ぎると、乳歯が永久歯へと生え変わります。体重は1週間に100gのペースで増加し、ぐんぐん身体が大きくなる時期です。

  • 生後9ヶ月~12ヶ月頃まで

    この頃になると、子猫の身体は成猫と変わらないくらいの大きさになりますが、内臓や骨、筋肉などまだ成長途中です。生後12ヶ月くらいまでは子猫用フードを与えてください。食事の回数は1日2~3回へと減らすことができ、成長が落ち着くので必要なエネルギーが減り、生後4~9ヶ月頃に比べると給与量も減っていきます。

猫の肥満の基準と原因・リスク

猫も太りすぎはさまざまな健康リスクを招きます。いち早く肥満に気が付いてあげられるように、猫の肥満基準や原因、肥満のリスクについて知っておきましょう。

肥満の基準と原因

猫が太っているかどうかは、猫の種類や性別、体格などで個体差があるため、一概に体重だけで判断することができません。
そこで猫の肋骨・腰部・腹部を見た目と触った感触から判断するBCS(ボディ・コンディション・スコア)を判断基準に用います。BCSでは、以下のように5段階で痩せ~肥満まで定義され、BCS3が理想とされています。

BCS1:痩せ 肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。首が細く、上から見て腰が深くくびれている。横から見て腹部の吊り上りが顕著。脇腹のひだに脂肪がないか、ひだ自体がない。
BCS2:やや痩せ 背骨と肋骨が容易に触れる。笛から見て腰のくびれは最小。横から見て腹部の吊り上りはわずか。
BCS3:理想体重 肋骨は触れるが、見ることはできない。上から見て肋骨の後ろ、腰のくびれがわずかに見られる。横から見て腹部の吊り上り、脇腹にひだがある。
BCS4:やや肥満 肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる。横から見て腹部の吊り上りはやや丸くなり、脇腹はくぼんでいる。脇腹のひだは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるのに気づく。
BCS5:肥満 肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれていて容易に触れない。横から見て腹部の吊り上りは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる。

BCS4で理想体重を7~22%ほどオーバー、BCS5で23%以上オーバーしている状態とされています。愛猫の健康維持・体重管理のため現在の体重とBCSから理想体重を正確に算出したい場合は、獣医師に相談するようにしましょう。

猫の肥満の原因には、運動不足や食事量、遺伝や病気などさまざまなものがあります。
若い頃と同じ食事量を与えていてカロリーがオーバーしているケースや、避妊・去勢手術によるホルモンバランスの変化などで基礎代謝が低下したり、食欲が増したりことで太りやすくなってしまうケースなどがあります。


肥満のリスク

猫の肥満もさまざまな病気を引き起こすリスクを高めます。
肥満になると糖尿病発症リスクが高まります。また12歳以上の高齢猫の9割以上が骨関節炎であるといわれており、それが肥満猫の場合は重たい身体を支える関節に余計負担がかかります。猫にとって肥満が健康に与える影響は深刻です。身体が重たくなると運動量が減少し、どんどん肥満が進行してしまうという悪いサイクルは、身体への負担をより大きくしていきます。

猫のダイエットは食事の見直しから改善方法は食事を見直す

猫のダイエットは、人間と同様に食事と運動が有効です。しかし猫の場合は、犬と違って散歩ができないので食事を見直すダイエット法が効果的だといわれています。
これまでの食事をどのように変えたら良いか、食事の量や種類、与え方について紹介していきます。

食事の量を見直す

猫が太ってきたな、と感じたらまずはフードの量を確認してみましょう。与えている量と商品に記載されているカロリーから、猫が摂取しているカロリー量を把握し、それが猫にとって適正給与量なのかチェックしてみてください。しかし無理な減量は、肝機能障害を引き起こす病気「肝リピドーシス」になる恐れがあるため、適正カロリーや目標体重は獣医師に相談のうえ算出した方が安心です。

  • 肝リピドーシスとは?

    肝臓に過剰な脂肪が蓄積することで肝機能障害を起こす病気です。
    治療しない場合ほとんどの猫は死に至ります。

食事量を調整してダイエットをする際には、じっくり時間をかけて行うことが重要です。決して絶食や食事量を急に減らすようなことはしないで、1週間で1~2%の減量で徐々に目標体重に近づけていくようにしましょう。


食事の種類を見直す

猫のダイエットを食事で行う場合は、前述した量を減らす方法の他に、食事の種類を変える方法もあります。
特に食事の量を減らしたら常にお腹を空かせている、という猫にはダイエットフードという選択肢もあります。フードを切り替える際には急に変えず、1~2週間程度かけて徐々に変えてください。


食事の与え方の注意と工夫

かわいいからといって、ついおやつを与え過ぎてしまってはいませんか?家族の中でひとりでもそのようなことをする人がいると、ダイエット計画は台無しです。ダイエット中は食事量をきちんと把握しておくことが重要です。食事を与える人が複数いる場合は、何グラム与えたら良いかを全員で共有して与えすぎに注意しましょう。

多頭飼いの場合は、他の猫の食事を横取りしていないか、または横取りされていないか注意が必要です。どれくらい食べたかを把握できるように、他の猫とは別部屋で食べさせたり、置き餌はしないで食べ残しは片づけるようにするなど工夫しましょう。

また猫がストレスを感じず楽しくダイエットができるように、次のようにちょっとした運動要素を取り入れた食事の与え方もおすすめです。

  • 食事は複数箇所に分けて置く

  • フードを持って追いかけっこをする

  • 猫にスクワットをさせるようなイメージで、フードを少量ずつ高めの位置で与える

  • ドライフードであれば、転がすとフードが出るおもちゃを使って遊ばせながら食事をさせる 等

猫のダイエットには正しい食事量と運動がとても重要です。運動が苦手な猫には、猫じゃらしなどを使って飼い主が一緒に遊んであげるのもよいでしょう。

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