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しつけ

【獣医師監修】猫の睡眠時間は何時間?寝かしつける方法も解説

2021.7.19
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育児の中でも大変だと言われる赤ちゃんの寝かしつけですが、猫の場合も必要なのでしょうか?今回は、猫の睡眠にスポットをあて、睡眠時間や寝る場所、飼い主さんが工夫したいポイントなどを詳しく紹介します。

監修者:村田 貴輝

日本獣医生命科学大学 獣医学部卒業。動物病院で臨床を経験後、アイシア株式会社入社。
<資格>獣医師、ペット栄養管理士、ペットフード安全管理者

INDEX

猫の睡眠時間と特徴

まずは猫の睡眠時間や普段の睡眠サイクル、質など、猫の睡眠の特徴をご紹介します。

猫の平均睡眠時間と眠りのサイクル

猫の1日の睡眠時間は、成猫で14時間、子猫は18時間、哺乳期にいたっては20時間以上も眠ると言われることがあります。実際には猫の睡眠時間は生活している環境で大きく変わります。普通の生活をしていると周りの刺激があるので、成猫の場合は10時間を切ることも珍しくなく、7時間程度のこともあるようです。

睡眠には、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2種類の状態があります。「レム睡眠」は「Rapid Eye Movement」の略で、寝ていても目が動いている状態のこと。一方「ノンレム睡眠」は「non-REM」という名のとおりレムではない、つまり目が動かない睡眠で、ぐっすりと寝ている状態です。 人はノンレム睡眠の割合が大きいのですが、猫や他の動物の場合はレム睡眠が多くを占めるようです。

また、猫は夜行性と思われがちですが、正しくは明け方と日没直後の時間帯に活発になる「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」です。猫の睡眠は一度にまとめてとるものではなく、何度も分けてとるものなので、日中や夜中も寝たり起きたりを繰り返します。


猫はなぜずっと寝ているの?

「猫」の語源は「寝る子」であるとも言われているように、猫はよく寝ているというイメージがあると思います。日中にも眠るのでその姿を見かけているからという理由もありますが、それ以外に、休息している時間が長いことも関係しています。ある調査では1日のうち約10時間眠り、約5時間休息していたそうです。この休息は猫の習性の一つで、眠らずにいることで付近に獲物や敵が現れた際にすぐに反応することができ、さらに狩りに向けて体力を温存できるのだと考えられています。


睡眠と具合の悪い時との見分け方

1日中ゴロゴロしている猫。寝ているだけなのか、それとも、体調が悪くてうずくまっているのか?寝ている時間が長過ぎて心配になることがあるかもしれません。

猫は、外敵から襲われないよう、寝る時は周りが囲まれた場所に身を潜める習性があります。また、自分の弱みを知られまいと、痛みや不調を隠す傾向にあります。ペットとして飼われるようになった現代でも、調子が悪い時は、家具の隙間や人のいない部屋などで過ごすことがあります。また、食事の時間になってもおねだりしなかったり、遊びに誘っても反応が良くなかったりする時は、体調の悪い可能性があります。体調が悪い時の寝ている様子としては、呼吸がいつもよりはやい、いびきをかくようになった、寒くもないのに震えている、などがあります。

1日のうちの長い時間を寝たり休んだりして過ごすことは猫にとって普通のことで、基本的には問題ありません。いつもと寝姿が異なり体調不良を疑う場合は、念のためかかりつけの動物病院で相談してみましょう。

猫の寝かせ方のポイントは?

猫は活発なモードになってしまうと飼い主が寝る時間になっても、寝てくれないことも。そんな時の寝かせ方をご紹介します。

夜、猫がなかなか寝ない理由

飼い主が寝る頃に”夜の運動会”が始まる…と悩んでいる飼い主さんも多いのでは?猫は薄暗い時間に活動することで、同じ薄明薄暮性のネズミなどと活動時間帯が合い、狩りに有利であったと言われています。今もその性質は残っていて、朝晩の飼い主の静かにしていてほしい時間に活動が重なってしまいます。また、猫は薄暗いところでは人間よりもくっきりと見えるので、人にとっては暗く感じる夜の部屋でもよく見えていて、自由に歩き回ることができます。


猫を寝つかせるために、してあげると良いこと

飼い主さんの工夫次第で人の生活リズムに合わせて夜におとなしくしてもらうことが可能です。そのポイントは、猫の欲求を満たすことです。
特に子猫や若い猫は好奇心旺盛で活発。遊びたい気持ちで溢れています。日中の体力があり余っている場合、そのエネルギーは夜に発散してしまいます。その反対に、日中たっぷり遊べば体力が使われるので、夜の眠気を誘うようになります。猫の遊びは短時間集中型です。1日の中で15分程度の遊びを何回かして満足すると、夜に寝てくれるようになるようです。


飼い主の生活リズムに合わせる方法

猫は周りの環境により活動と睡眠の時間帯が変化します。人でも昼に眠ると夜の寝つきが悪くなることが多いと思いますが、猫も日中に活動していれば夜に眠るし、昼寝をたくさんすると夜に活動してしまいます。周囲が規則的な生活を送っていると猫もある程度決まった時間に活動をします。飼い主の生活が不規則であったり、家の周囲の光や音の刺激が入ったりするとリズムが狂ってしまうことがあります。

猫に夜寝てほしい時は、食事を与える時間を調整してみましょう。飼い主さんが朝起きてから食事を与えるようにすれば、「夜に起きていても何もない」と猫が理解し、朝起きて活動し、夜は体を休めるようになるケースもあります。夜に鳴いた時にご飯を与えると、退屈な時も声を発すれば飼い主の気を引けて、しかもご褒美までもらえる、と学習してしまいます。猫が空腹でいることは当然ダメなのですが、十分に食べ、水やトイレなどがきちんと用意されているのであれば、夜に起こされても無視するというのも一つの方法です。もしも飼い主さんの生活リズムの関係で、朝にご飯をあげられず、空腹で騒いでしまうような場合には、自動給餌機で決まった時間に決まった量のご飯をあげるという方法もあります。規則正しい生活を繰り返すことで、だんだん飼い主の生活リズムに近づいていくでしょう。

猫の寝る場所はどこがいい?

猫に、より質の良い睡眠をとってもらうには、寝る場所を整えてあげることも大切。寝床の整え方のポイントを、その理由とともにご紹介します。

猫が落ち着かない場所とは?

猫は警戒心が強い動物です。リビングのような賑やかなところでは落ち着かず、ゆっくりと眠れないかもしれません。静かな場所を用意してあげましょう。

普段落ち着いて過ごす場所であっても、知らない人がいたり掃除機の音がしたりするとストレスを感じる場合があります。いろんな部屋に猫用のベッドを置くなどして、来客や掃除などの際に避難できるような居場所を作ってあげると猫が安心できます。


猫が好む寝床のポイント

以前はブラウン管テレビの上が猫の特等席だったように、猫は暖かい場所を好みます。日なたぼっこや外を見ることも好きなので、寝床は窓際に置くのも良いでしょう。
猫は高いところから見下ろすことも好きなため、寝床はキャットタワーなど見晴らしの良い場所にも設置することをおすすめします。多頭飼育の場合、猫同士の仲が悪いこともあります。各自が安心できるパーソナルスペースを持てるよう、寝場所が不足しないようにしてください。

寝床はベッド型、ドーム型、ハンモック型など多くの種類が販売されており、なかには爪とぎができるものもあります。柔らかい素材が好きなようですが、実際に猫が使ってくれるかどうかは性格と気分で変わります。お気に入りかと思えば、いつのまにか使わなくなっていることもあります。季節や時間で居心地が変わるので、快適な場所を何種類か用意してあげましょう。


キャリーバッグに普段から慣れてもらう

キャリーバッグを置いて普段から慣らせておくと、動物病院などのお出かけ時のストレスが和らぐと言われています。また、入院や災害避難時は狭い場所で過ごさなければならなくなるので、予め専用のケージを設置して自分だけの空間として慣らせると、いざという時にパニックをおこしにくくなります。

いかがでしたか?可愛い猫の寝姿をいつまでも見ていたいから…猫ならではの睡眠のメカニズムや傾向を知って、より良い環境を整えてあげましょう。

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